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Cecil

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旅の小休止【プロローグ】

2012/04/19

「はー…暑いなぁ…」
少女は空を見上げて呟いた。
前方を見ると街道が広がり、ゆるやかな坂道の先には街——シエル・ロアという街——が広がっていた。丘に行けば、その街の景色が広がり、まるで街の全景が確認出来る程だった。
「本当はこんなに早く戻ってくる予定はなかったんだけどなぁ…まさかこんなに早く戻る事になるなんて」
彼女は街道を歩いていった。長い間歩いていたせいか、靴はところどころすり切れていた。




彼女の名はセシル・ウェンキッド。生まれも育ちもシエル・ロアであった。
彼女は軍の士官学校を退学し、3、4年前から流浪の旅を続けてきた。
出会いと別れは数知れず、出会い倒した魔物も数知れず。野原や森で過ごしてきた夜は幾星霜——。
時にはあらぬ疑いをかけられる事もあり、遺跡の片隅や森の奥で野宿をする事も多々あった。
魔物を倒した金で武器商人から鎖で繋がれている二本のナイフを買った事も一回あった。
彼女は街道を歩きながら、今までの旅を振り返りながら無心で歩みを進めていた。
「思えば旅をして色々とあったなぁ…旅なんてしなきゃ、こんな武器を持つ事も、貴重な経験をする事もなかったんだ…」
彼女は草むらに座り一人、武器を手に取る。刀身が赤いスティレットに、蒼いククリ。赤と蒼、形状との対比。まじまじと見つめると不気味なものである。まるでナイフが自分を見ているかのように、ナイフはきらめいた。
彼女は4年前の事を思い返していた。軍の士官学校に在学していた時の頃、異能が目覚めてから初めての実戦演習の事を——



まどろみの中で、一人の男の声が聞こえた。
「そこの貴女。そこで何をしているのですか」
彼女は目を開けた。彼女の瞳にはハープを持った、男性か女性か分からない赤髪の人物が映っていた。
「うわっ!? ……びっくりした…」
彼女は驚いた。まさか、こんな街道に人が通ってくるとは。
「貴女はセシル・ウェンキッドさん…ですね? 私の名前はオメテオトルです。貴女が眠っているのでついつい話掛けてしまいました」
彼女はオメテオトルを見る。どうやら少年少女、という訳では無さそうだった。歳は二十歳を越えているように見えた。
彼女は半ばねぼけた声で問った。
「オメテオ…トル…さん、どうしてここに…?」
「貴女が旅人に見えたので、旅人同士、色々とお話をしようと思ったのですよ」
彼女は一気に目が覚めた。どうしてすぐにセシルが旅人だと分かるのか——。彼のその瞳は、まるで彼女の生い立ちを見透しているかのようにセシルを見ていた。




オメテオトルとセシルは長い間話をしていた。
旅の話や戦いの話など、様々な話をしていた。時間は三時頃であった。
「オメテオトルさん、あなたはなぜこんな所に?」
「私は、今あの街に滞在していまして。帰る所だったのです」
彼はそう言って、緩い下り坂の方を指差した。
「シエル・ロア…?わたし、こんな所を歩いていたんだ…」
「おや。貴女は帰ってきた訳ではないのですか?」
セシルは頷きながら答えた。
「お姉様の事を考えていたら、いつの間にかこんなところに居て」
「軍にいらっしゃる方、でしたね。街を歩いていると良く見かけます」
セシルは、姉が無事に暮らしているということを知って、安堵した。だが心の寂しさは消え失せはしなかった。
「お姉様に会いたいんです。会って、話がしたいんです」
彼女はうつむいて言った。彼はいきなりこんな話を切り出してきた。
「貴女は…”エデンの鍵”というゲームを知っていますか?」
「いや、まったく…」
「運営が企画した三つの組織によるゲームで、優勝した組織にはあの街の統治権が手に入るゲームです。参加したい、とは思いませんか?」
「……。」
いきなり切り出された話に、彼女は黙った。
「参加しないのであれば、参加しなくても良いと思いますが、このゲームに運営として参加すればきっと姉に会えるでしょう」
姉に会える。彼女の目は輝いた。
「オメテオトルさん、わたし…”ゲーム”に参加する。運営に入ってお姉様に会えるのなら——」
彼女の言葉に迷いはなかった。
「決まりですね。もう夕方なので、途中まで送っていきましょう。街道とはいえ、まだまだ危険ですからね」
「大丈夫です。わたしは旅人ですから」
彼女はそう言ってオメテオトルと別れた。






空は夕暮れ。姉に会えるという思いだけが彼女の足を動かす。
姉に会えるなら、たとえ姉と剣を交える事になっても——。と思いながら、彼女は街へと歩き出していった。

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