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銃で穿つ【一回戦】

2012/04/29 20:56

「リスを捕まえる…?簡単だな。こりゃすぐに終わるかもしれねえな」


住宅街のとある借家。部屋。
チノはベッドの上に仰向けになり、携帯を見ながらそう呟いた。
黄の腕章には”運営”から貰った星が一つ、輝く。
「小動物ってのは大抵こんな時間は闇にまぎれてるもんだが、この星がついてるなら多少は見つけやすいか」
携帯を捉えていた目が、腕章の星を捉える。星には自分の名前が彫ってある。
星というものは闇の中でこそ輝きを増すもの——。というのが彼の考えの一つであった。
彼は時計を見た。この時間であれば他組織の人も少ないだろうと彼は思った。
「さ…てと、リス、捕まえないとな」
彼はベッドから起き上がった。
「星を貪欲に求めて、醜い勝利が何なのか、オレがこの目で確かめてみるか」
彼は銃を手にし、ホルダーにしまう。そして、借家を出た。


「今日は地下から…と」
チノは隠し通路から地下の水路に入っていく。
地下へ通じる隠し通路を、彼はあらかた知っている。幼少期の生活において、地下に隠れ潜む事は日常茶飯事だったからだ。
それに加え使われていない水路や、不気味な水路、様々な事情があり、今ではこの通路を利用する者は居ない。
チノは水路を走っていった。時々足を止めて、水音や足音に耳を澄ませる。
そして走って走って、数時間——リスはいまだ見つからない。
チノは通路に座り、体を休ませる。地下に入ってから今までチノは、誰にも遭遇していなかった。
チノは周りを見回した。いつの間にやら不気味な水路の近くまで来ていたようだ。
「こうして眺めると不気味な水路だな…だけどあそこにリスが迷い込んでるかもしれない」
彼は気持ちを奮い立たせ、不気味な雰囲気のする方へ向かっていった。


水路をどんどん進んでいく。進む度に彼の感覚は研ぎ澄まされていく。
階段を上り、通路を通っていくと、彼の耳にバシャバシャと微かな音が聞こえた。
「魔物か…?」
彼は水音のする方へ駆けていく。だんだんと水音は激しくなっていく。
彼は大きな所に出た。するとそこにはお目当てのリス———そして…ゼリー状の魔物。
「あぁ——こりゃ星が欲しけりゃ魔物を倒せって言う運営の計らいかも…なぁ!」
彼は咄嗟に銃を構え、魔物めがけて撃った。


水路に銃声が鳴り響く。
魔物と銃の相性は悪かった。
「ったく、弾が切れる!」
銃弾を装填しようとするが、魔物が襲いかかってくる。チノはすかさず蹴りを入れた。研ぎ澄まされた蹴りが魔物を裂く。
「しつっ…こい魔物だな!」
彼は右に持つ銃で魔物を振り払う。銃は刃のように魔物を裂いた。
銃弾を銃に装填し終えた。ポケットの中の銃弾は少ない。
「これでやってやる…」
少しでもダメージを、少しでも威力の高さを。
チノは魔物との間合いを詰める。至近距離での射撃、距離が近づく程威力は高まる。
ゼリーに銃口が当たった。零距離射撃。
「行けぇっ!」
チノは全弾を魔物に撃ち込んだ。ゼリーが弾け飛び、少し顔に掛かる。魔物は跡形も無く散った。
「魔物は倒した。あとはリスを見つけるだけ——」
そう呟きながら顔を拭う。ゼリーの臭い匂いが鼻をつく。
リスは簡単に見つかった。彼はリスの星を取り、リスに語りかけた。
「キミはもう地下に入るんじゃないよ。オレが森に帰してやるから、な」
腕章に星を付け、チノとリスは帰路についた。

地上へ出ると、星の輝く夜は過ぎ、代わりに朝焼けの太陽が、さんさんと輝いていた。




チノ…星取得



チノの第一回戦。決して楽な星取得ではなかったようです
チノからは暫く魔物の匂いが…
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