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戦士の休息

2012/09/10 23:51

ハアアアアアアア!!!!

膝枕の後のお話。
濃厚にしゃしゃさんのヴィルフリートさんをお借りしました。

やっぱり追記でべろべろと続きます。本当にありがとうございます…
 電波の届かないような地下深くに、私の目の前で眠りにつく男が居た。
 頭を私の大腿に載せ、しばらくの休息に入ろうとしている。

 私はやれやれと軽い溜め息をついた。僻地に赴いて任務を遂行するにあたって、不用心に眠る事は危険な事だ。このビルは僻地でも、人通りの全くない所でもないが、それでも寝顔を曝すのはいかがなものかと思う。
 時間を確認すると、夜はかなり更けていた。早い所起こしてあげて、寮で眠って貰いたかったのだけれど、彼の手当てされた腕の具合だったり、彼が安らかな寝息を立てているのを見ると、彼を起こすのがとても申し訳なく感じて、予定通り一時間程経ったら起こす事にした。

 途中、人が通ってきたのが二、三ほどあったので、彼を起こさないように軽く会釈を交わした。
 
 何もする事が無いので、彼の寝顔をまじまじと見つめてみた。眼瞼は閉じていて、少し長めの睫毛が伸びている。端正な顔立ちをしていて、金の髪の毛先がくるりとしていた。金の毛先を弄んでみた。ぴんと伸ばして、指を離すとすぐに元のくるりとした毛先に戻った。
 体はがっしりとしていて、至近距離で眺めていると、男と女の体の違いが改めて分かった。
 手を比べてみると、体の違いが良くわかった。指ですら違っていた。
 
 私のそばで眠る彼は幸せそうな寝顔をしていた。何かしらの良い夢を見ているのだろうか?
 時間を確認してみるとまだ一時間も経っていなかった。



 私は彼の頭を載せたまま、”ゲーム”が終わってからの事を考えていた。彼は相変わらず夢を見ているようだった。
 シエルロアを新たに統治する組織はどの組織なのだろうか? もしも軍以外の組織が統治するのならどうなるのだろうか? というような事を考えていた。
 おおよそ五ヶ月前から”ゲーム”は始まり、命ぜられるままに動いて五ヶ月。思えばこの五ヶ月の間に様々な事があった。日々の変化はあまり無い様に見えて、”ゲーム”に参加するという仕事が増え、時間は目まぐるしく過ぎて行った。
 目の前の彼との出会いも、数ヶ月も前の事なのに、昨日あった事の様に鮮明に思い出す事が出来る。あの時に頬を思い切りはたいた事もだ。

 このゲームが終わったら、私達二人はどうなるのだろうか。組織は同じだが、部隊は違う。
 ゲームが終われば、その後の処理をして、それが終われば各々の仕事へと戻って行く——。軍がこのシエルロアを統治するならまた話は別なのだが、結果はまだ出ていない。
 会える時間も、きっと減って行く。私にはゲームの終わりが、やがて訪れる終わりの始まりに思えてきた。
 私は思考を振り払う様に首を横にぶんぶんと振った。
 
 もう一度時間を確認してみると、1時間を15分程過ぎていた。彼をとうとう夢から醒ましてやらなければならない時がきた。
「上官殿、起きてください、もう一時間経っていますよ」と私は彼の体を揺さぶった。だが彼のまぶたは開かなかった。
 もう一度体を揺さぶって「早く起きて下さい」と言ってみたが、起きる気配がない。
 息はしているものの起きないので、私は揺さぶるのをやめて、どうすれば彼が起きるのか考えた。
 揺さぶって駄目なら強行手段に出るしか無いという寝ぼけから考えたであろう訳の分からない答えに私は行き着き、私は彼の前髪を掻き上げて、顔を寄せて、額に触れるか触れないかぐらいに触れてみた。
 強行手段に出て、ばっ、と顔を元の位置まで持って行った。彼はやっと目を開けてくれた。
「や、やっと起きましたね」と、熱い頬をしながら私は言った。彼は、私の方を怪訝そうに見ていた。
「——もう、一時間も経ったのかい」と彼は少々寝ぼけ眼で言った。
「いえ。きっかり一時間では無く、一時間と二十分程経ってしまいました。早く体を起こして帰りましょう」
「……やだ、嫌だ。あと、五分だけ——」
「何を言っているのですか」と私は言った。「今日はもう遅いですし、もう一回眠るなら自分の部屋で寝て下さい。それに——、膝枕自体はいつでも出来ます。ですから、どうか体を起こしてください」
 私がそう言うと、彼はばっと体を起こした。私の顔を風が撫でて行った。
 彼はこちらを向いて、妙な顔で「それは駄目だ!」と言った。
「それじゃあ膝枕の安売りじゃないか! そんな簡単に——いつでもなんて、もったいない」
「えっ…? 安売り…ですか? ですが、膝枕しても膝自体は減りませんよ?」
「確かに膝自体は減らないけれど! だけど! 僕の中での色々な物が減って行くような気がするから…! ほら、滅多にない事が、ことあるごとに起こるあの感じ——」
 そう語る彼はどこか必死に見える。彼の言いたい事は分かる。
「言いたい事はあとても分かりました。——それでもあなたの為に、あなたが少し休みたいときに、膝はいつでも開けておきます。それに——この”ゲーム”が終わっても、私はあなたと、こうして、もっとお話したいのです」
 私はそう言い切った。例え物事が、あるべき場所に収まったとしても、私は、彼の側に居たいのだと。
 私は彼を抱きしめた。確かなぬくもりを感じる。しばらくそうして後、私は背中に回した手をゆっくりと離した。
 
 私は、彼とともに帰路についた。彼の手は自分の手より少し冷たいようで、もし冷たいのだとしても、暖かい。
 そして帰路の中で——ゲームの終わりは、終わりの始まり等ではなく、これから広がる、始まりなのだと、そう、確信を持って、私は思った。



互いに慕う今、私は、彼の事をどう呼べば良いのだろうか?


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